2002年度顕彰企業のご紹介モノづくりブランドNAGOYA

「現代に生きる伝統の技」を世界のブランドに

株式会社竹田嘉兵衛商店

400年にわたる日本の伝統を進化させたい。
古いものには未来を切り拓く鍵が隠されている。
私たちは「有松絞り」を世界のブランドに育てたいと願っています。

400年の伝統と職人の技

今から400年ほど前、竹田庄九郎らの手によって始まった「有松絞り」。「絞り」とは布を糸で絞り染める布の染色法で、糸のあった部分は染色されずに白く残り、複雑な模様が布に描かれる。歴史の中で培われた技法の数はゆうに100を超え、その作業は現在でもすべて熟練した職人による手作業で行われている。

その竹田庄九郎の流れをくむ竹田嘉兵衛商店は、匠の技によって優れた和服を製作し、「竹田庄九郎」というブランド名で全国的に親しまれてきた。

かつては日本人の生活の中心にあった和服も、現代人の和服離れから市場が縮小、職人の数も減った。「なんとかしなければ有松絞りの未来はない。現在まで伝えられた絞りの技術を進化させることはできないか」。

「絞り」の概念が覆された国際会議

チャンスが訪れたのは1992年、世界各地から絞りの専門家だけでなく多くの異業種の人々が名古屋に集まった「国際絞り会議」の開催だった。絞りの特徴・魅力について、“Shaped resist dyeing”(立体的に防染された染め物)という概念が提唱された。絞りはあくまで染めるための技術。そのため、染めた後にできたシワは湯通しして伸ばす。しかし、“Shaped resist dyeing”では、そのシワの造形こそが有松絞りの魅力と考られたのだ。

竹田嘉兵衛商店とその仲間たちは、研究を重ね、形状記憶加工というハイテク技術を使ってシワを固定することに成功。伝統とハイテク技術の融合により、新しい絞りが完成した。その後、イッセイ・ミヤケやコシノ・ヒロコら日本を代表するデザイナーが続々とこの布を使った服を発表し、手作業から生まれる布の「ゆらぎ」に世界から注目が集まることになった。

竹田嘉兵衛商店は、洋服の製作にも着手。有松絞り独特の布の造形をそのまま活かした洋服は、“POCKETEE”というブランドで海外でも販売されている。絞りの「ゆらぎ」を表現したガラスや金属の製作も始まった。有松絞りの伝統の技は、その伝統そのものを打ち破る創造力によって、これからも進化を続けていく。

株式会社竹田嘉兵衛商店・製品

会社概要

社名
株式会社竹田嘉兵衛商店
本社所在地
〒458−0901 名古屋市緑区有松町大字有松字往還南175
TEL:052−623−2511
FAX:052−623−5105
E-mail:kahei-takeda@kdp.biglobe.ne.jp
代表者
竹田 浩己(たけだ ひろき)代表取締役
創業
1750年
資本金
4900万円
従業員数
31名
売上高
12億円(2006年6月期)
事業内容
絞り製品 製造・販売
オンリーワンナンバーワン技術、シェア(国内)など
絞り訪問着(1位)
絞りブラウス(1位)

※データ・内容は2007年5月現在のものです。