2019年 年頭所感

明けましておめでとうございます。

会員の皆様には、お健やかに平成31年の新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

平成も残り4カ月となりました。本年は5月1日から、新元号のもとで新たな時代を迎えます。来たる時代も、我が国が平和でさらに成長・発展するよう祈念いたします。

名古屋商工会議所 会頭 山本 亜土 名古屋商工会議所 
会頭 山本 亜土

当地域の景況について

さて、日本経済は、緩やかながらも長期にわたる景気上昇が続き、その中にあって、当地経済は製造業の強い国際競争力に支えられ、他地域に比べても、堅調に推移しています。

一方、最近は、人件費や原材料費の上昇等により企業収益の伸びに頭打ちの兆しがあり、また、米中貿易摩擦の影響の顕在化や日米間の貿易交渉の帰趨など、国際経済の波乱要因が、輸出中心の当地産業に与える悪影響が心配されます。本年10月には消費増税も控えており、各企業におかれては、今後の景気動向に敏感さが増している状況と思います。

加えて、業種を問わず、人手不足が一層深刻化する中で、働き方改革や、シニア層・女性・外国人等の多様な人材の活躍を進めることが、益々、企業の存続・成長にとって不可欠な要素となっています。

中小企業支援の強化

一方、中小・小規模企業においては、目まぐるしい環境変化に、自らの努力だけでは対応困難な面があり、引き続き厳しい状況にあります。

言うまでもなく、会議所活動の根幹は、「中小企業の支援」であり、名古屋商工会議所では、70名の経営指導員による年間約21,000件の巡回・窓口相談を軸にしながら、中小・小規模事業者に寄り添ったきめ細かな「伴走型支援」を行っております。

本年は、特に、対応の遅れが懸念される消費税増税・軽減税率対策について、セミナーや個別相談会などにより、情報提供や支援を積極的に行います。同時に、小売・サービス業等で、クラウド会計やキャッシュレス決済の導入を進めるなど、IT化支援にも精力的に取り組みます。

また、「大事業承継時代」を迎える中、昨年改正された事業承継税制の活用等による円滑な承継への支援や、働き方改革等に対応した人材確保・活用支援を進めます。また、本年秋に14回目を開催する「メッセナゴヤ」などによるビジネスマッチングの充実に更に努めます。

「躍動し愛されるナゴヤ」実現を目指して

(1)中・長期的な課題

現在は堅調な当地経済ですが、中・長期的には、大きな環境変化とリスク・課題があります。

AIやビッグデータ等によるデジタル革命が各産業を大きく変化させつつあり、当地主力の自動車産業でも「百年に一度の大変革」が進み、コネクティッドや自動運転、MaaS(マース)等、新技術や新事業の研究・開発が海外を含め他地域で行われ将来の産業空洞化に繋がることが懸念されます。

また、2027年のリニア開業により、当地が東京圏と一体で大きく発展するチャンスがある一方で、東京圏に埋没・吸収され、東京一極集中が更に進むリスクも十分認識しておかなければなりません。

(2)三位一体での事業推進

以上のような認識を踏まえ、本所では、昨年7月に「躍動し愛されるナゴヤ研究会」報告書を取り纏め、今後の取組みの方向性や具体策を公表しました。その骨格は、ナゴヤが「面白く魅力的で、内外の多くの人々がビジネスや観光を目指して何度も訪れ、活動や交流を拡げる街」となるため、「次世代産業発展、イノベーション・スタートアップの創出」、「まちづくり、交通インフラの整備」、「観光・誘客の推進」の3本柱の施策を一体で推進し、そして、それら3つの柱が好循環を生んで、「躍動し愛されるナゴヤ」を創り出していくというものです。その実現に向けて、県・市等行政や関係機関と十分連携・協力しながら、本所としては、その仲立ち役となるとともに、自らも着実に実行に取り組みます。

①次世代産業発展、イノベーション・スタートアップの創出

次世代産業振興については、航空宇宙分野で、高い技術力を持つ当地の製造業の皆さまに、航空宇宙分野における事業展開の機会を拡げるため、第3回となる「エアロマート名古屋」を9月に開催するほか、エンジン部品やMRO(Maintenace,repair&Overhaul)分野への参入支援など幅広い取組みを進めます。医療機器分野では、4月に「第5回メディカルメッセ」を日本医学会総会と同時開催します。

また、産業競争力の源泉がデジタルなどソフト分野へ移行する中で、イノベーションやスタートアップ創出への取組みを強化し、担い手となるクリエイティブな人材が育ち・集まる街にするため環境整備に努めます。

②まちづくり、交通インフラの整備

第二の「まちづくり、交通インフラ整備」では、リニア効果を最大化し、地域全体にあまねく波及させるため、まずは名駅のスーパーターミナル化の着実な推進、そして、中部国際空港の二本目滑走路の早期整備、また、名古屋港の港湾機能強化、広域幹線道路の整備促進等について、行政を支援し積極的に取り組みます。

まちづくりでは、名古屋駅・伏見・栄の都心部が、それぞれの個性を伸ばし、一体で「歩いて楽しい街」となるよう、栄地区や伏見地区の一層の賑わい拡大などに向け、行政やエリアマネジメント団体等と協力しながら取り組んでいきます。

③観光・誘客の推進

観光について、当地の取組みはやや遅きにの感はありますが、インバウンド4,000万人時代を迎える中、地域の商業・サービス業の発展に不可欠な重要な要素として取組みを強化する必要があります。

本所としては、インバウンド拡大に向け関係機関と一体でターゲット国を絞った具体的な戦略の策定・実行を進めます。また、「なごやめし」の新商品開発など「ナゴヤらしさ」を一層掘り起こして売り込んでいくとともに、産業観光の更なる強化やナイトタイムエコノミーの振興などを図り、訪れた人に、「楽しく、面白い」と言って頂ける街となるよう取り組んで参ります。

むすび

本年の干支は「亥(い)」です。元来、この「亥」はイノシシや豚の骨格を描いた象形文字で「骨組み」を表していると言われています。「躍動し愛されるナゴヤ」の実現に向け、本年はその骨組み(体制)を整えるとともに、スピード感を持って『実行する年』と位置づけ、自ら汗をかいて関係機関や関係者との連携・協働を図りながら取り組んで参る所存です。

会員の皆様には引き続き、本所の活動に一層のご理解とご支援をお願い申し上げて、新年の挨拶とさせていただきます。

2019年1月1日

以上

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