2020年 年頭所感

明けましておめでとうございます。

会員の皆様には、令和2年の新春を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年、「令和」という新元号のもと新たな時代を迎えました。天皇陛下ご即位にあたり、多くの慶祝行事が滞りなく催され、誠に喜ばしく、深く記憶に刻まれる一年でした。また当地では、昨年11月に「G20愛知・名古屋外務大臣会合」が開催され、政府から各国外相への贈呈品として、本所の「匠(たく)土産(みやげ)プロジェクト」を通じて開発された「SANBOUボトルクーラー」が採用されるなど、大変嬉しいニュースもありました。

名古屋商工会議所 会頭 山本 亜土 名古屋商工会議所 
会頭 山本 亜土

当地域の景況について

 さて、当地経済は主力の製造業に支えられ拡大を続けてきましたが、昨今、世界経済の下振れリスクが高まり、先行きを慎重に見る企業が増えております。輸出依存度が高い企業も多く、海外経済の動向は非常に気がかりで、今後は先行き不透明と言わざるを得ません。

 一方、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費が緩やかな増加を続けていることから、今後、国内需要は堅調に推移していくものと期待したいと思います。

中小企業支援の強化

 しかしながら、中小・小規模企業では、人手不足の問題が改善せず、事業承継や働き方改革への対応、ITの活用推進等、経営環境は依然として課題山積となっています。また、消費増税から3か月が経過しましたが、業種によっては、駆け込み需要の反動で売上げが減少し、厳しい環境が続いているところも散見されます。

 申し上げるまでもなく、会議所活動の根幹は「中小企業の支援」であり、本所は約70名の経営指導員による年間約20,000件の巡回・窓口相談を軸にしながら、中小・小規模企業に寄り添った、きめ細かな「伴走型支援」を行っております。

 本年は、今月から12回にわたって開催する「働き方改革!シリーズ講演会」を通じ、 先進企業の取組事例を紹介するほか、採用力の強化にも力を入れ、人手不足や働き方改革への対応が求められる環境を踏まえ、人材を惹きつける組織づくりへの支援に努めて参ります。

「躍動し愛されるナゴヤ」実現を目指した活動の本格化

 当地には、中・長期的に大きな環境変化と課題があると思います。AI、ビッグデータによる「デジタル革命」がもたらす産業構造の変化や、主力の自動車産業における「百年に一度の大変革」が進展し、もしかすると、他地域での研究開発等が進むかもしれません。また、リニア開通による首都圏との一体化で当地が埋没していくリスクも、気になるところです。

 こうした状況を見据え、モノづくりをしっかりと維持し、その強みをベースに、「次世代産業振興、スタートアップ・イノベーション創出」、「まちづくり、交通インフラ整備」、「観光・誘客の推進」という三本柱を一体で推進し、面白く、魅力的で、国内外から多くの人々に何度も訪れてもらえるよう「躍動し愛されるナゴヤ」へと発展させていくことが大変重要だと考えております。

(1)次世代産業振興、スタートアップ・イノベーション創出

 次世代産業では、航空機で部品産業のグローバル展開への支援や、今後拡大が予想されるMRO(Maintenance,Repair&Overhaul)分野への進出支援・振興に取り組んでいます。また、医療機器分野では、5月に開催される「日本臨床工学会」にあわせて「メディカルメッセ」を同時開催し、当地の医工連携の取り組みをアピールするとともに、医療関係者、メーカー、ディーラー等とのネットワーク構築を図って参ります。

 さらに、昨年10月、名駅近くにオープンした「なごのキャンパス」は、当地で成長・飛躍する企業が数多く生まれるための苗床として、大切な拠点施設です。本所職員も常駐しながら、新たな出会いやビジネスチャンス創出に向け、積極的に支援いたします。

(2)まちづくり、交通インフラ整備

 まちづくり、交通インフラ整備では、名駅・伏見・栄の都心部がそれぞれの個性を伸ばしつつ、一体で「歩いて楽しいまち」となるよう、本所の呼びかけにより、まちづくり団体や地元行政等の定期的な会議体を設け、情報共有と連携方策の検討を重ねていきます。

 また、リニア効果を最大化し、域内にあまねく波及させるため、中部国際空港二本目滑走路の早期整備や名古屋駅のスーパーターミナル化の推進、名古屋港、広域幹線道路の整備拡充等、行政・関係団体とも連携し、積極的に取り組んで参ります。

(3)観光・誘客の推進

 観光・誘客では、2030年の我が国へのインバウンド6,000万人が目標となる中、当地商業・サービス業の発展に不可欠な要素として、インバウンド対応を強化する必要があります。今後、インバウンドの受け入れに必要な“商品・サービスを提供する事業者”と、“飲食・小売・宿泊・サービス業等の事業者”との商談会を開催するなど、一層のインバウンド拡大に注力いたします。

 また、愛知県は昨年、ラグビーWCで大いに盛り上がったところですが、本年は「ワールドロボットサミット2020」、「ロボカップアジアパシフィック2020あいち」をはじめ、「世界ラリー選手権(WRC)」など注目イベントが目白押しです。本所では、夜の賑わい創出によるナイトタイムエコノミー振興や、MICEで当地へ来られたビジネス客向けに観光コースの提案(ブレジャー)と情報発信など、観光・誘客の推進にしっかり取り組んで参ります。

 幸い、地元行政等とは基本的な考え方や課題認識を共有していますので、足並みを揃え、地域一丸となって着実に、また、時に大胆に取り組んでゆきたいと思います。

むすび

 昨年11月から2期目に入り、副会頭以下、新しい体制がスタートしました。

 本年の干支は「子」です。これは新たなサイクルの始まりで、子孫繁栄を象徴するものとも言われております。会議所活動の新たな一歩を踏み出すのに、非常に相応しいタイミングだと思います。

 これから、「躍動し愛されるナゴヤ」の実現に向け、“火付け役”として、あるいは“仲介役”として、自ら汗をかきながら取り組み、その動きが連鎖的に広がるよう、有言実行に努めます。“地域総合経済団体”としての責務を果たし、企業活動や地域社会の一層の成長・発展にぜひ貢献して参りたいと考えています。

 会員の皆様には今後とも、会議所活動に対する一層のご理解とご支援をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

2020年1月1日

以上

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